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桃色の夕方

 自転車を走らせながら、帰る方向を見た。
 ビルが桃色に染まっている。

 あ、酔いそう・・・。
 いつも、そう思うのだった。桜の季節の夕方には。
 
 ふーーーっとタメイキをつく。
 今日何度私はタメイキをついたことだろう。
 昨日も何度、タメイキをついたことだろう。

 「ほーら、またタメイキ。」

 え?

 「タメイキばかりついていると、幸せ逃げるよ」

 え?
 そんなことないはずよ!だって息を吐くと、新しい空気が入ってくる。
 意識的に、古い空気を出したい時、私はタメイキをつくのよ!
 と、すばやく心の中で言って、後ろを思わず振り向いた。
 
 タッタッタッ・・・・

 確かに確かに聞こえた、走り去る音。
 誰?

 坂を下っていた私の前方に見えた年配の女性も周りを見回しているではないか。
 このコースには毎日たくさんのジョガーが、様々な目的を持って、あらゆる時間に走っている。
 お年寄りや外国人のジョガーも多い。

 しかし、一体、誰だったんだろうと思う頃には、目の前に季節はずれな感じで広がる落ち葉に、私の意識は向かっていた。
 誰だっていいじゃん。足音は空耳でも、いいじゃん。

 やっぱり、タメイキつきすぎだよね、私。教えてくれて、ありがと。 
 
 
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テーマ: ショートショート | ジャンル: 小説・文学
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